子供の頃に私が通っていた町の床屋さん。スポーツ刈りの私の頭を丁寧に丁寧に整えてくださったことを覚えています。
2時間近く掛けて散髪していただき、顔剃りを含めると仕上がりまでにもっと時間が掛かっていました。確か当時の支払いで3600円だったと記憶しています。
家に帰ると親父が頭を撫でてチェックしながら感心していた場面までがワンセットで思い出されます。月に一度の恒例行事でした。
髪型は子どもの頃と変わったとはいえ、今でも月に一度のペースで散髪しています。髪型以外に大きく変わった事はといえば、散髪に掛かる時間と支払う金額です。
10分程度で手際よく仕上げてもらって1000円のお支払い。1000円カットです。洗髪、髭剃りこそありませんが、十分満足できるクオリティーな訳ですから、すっかり常連客です。
カットしていただく方も毎回違いますし、とにかく短時間なのでほとんど会話せずに終ります。
子どもの頃、床屋さんのハサミの音を聞きながら、部活の事や、学校の事なんかを聞かれては調子よく応えてました。狭い町なので同じ学校の知ってる顔が順番待ちしてる時は声をひそめたり、そっけなく応えてみたり。
床屋さんって、話をしながらもきっちり仕事をする凄い人なんだなぁと感心しつつも、今日は何を聞かれるんだろう、どんな話をしたらいいんだろうと、子どもながらに緊張感を持って通っていたんです。
それに比べて今の私ときたら、10分間1本勝負の1000円カット通いがほとんどなので、床屋さんとのコミュケーションはほぼ皆無と言っていい程減ってしまいました。
気は楽なんですけど、なんだか少し寂しいんです。時短だのコスパだのと突き詰めていくと、人と人とのぬくもりが削がれていくようでして。
コミュニケーションが希薄になって寂しいと感じつつ、1000円カットでのほどほどの距離感も慣れると楽なのは確かです。
結局どっちなんだ、私は散髪に何を求めているんだ、と迷走するのでした。
そこで、低コストライフ実践のために1000円カットを優先しながらも、たまに町の床屋さんで丁寧な顔剃りやマッサージまで含めた贅沢なひとときを味わうことにしています。この辺のバランスは大切ですね。
最後までお付き合いいただき有り難うございます。