日本版FIREの結論:生活費の「30倍」が新基準
結論から言えば、日本でインデックス投資のみを頼りにFIREする場合、年間支出の30倍の資産を持つことが現実的なラインです。
欧米で定説とされる「25倍(4%ルール)」では、日本特有の**「税金」と「社会保険料」**の重圧により、資金が底をつくリスクが高いからです。
1. 「20.315%」の壁をどう突破するか
インデックス投資の出口戦略で最大の障害は、運用益にかかる約20%の申告分離課税です。
- 4%取り崩しの実態: 仮に資産1億円から400万円(4%)を取り崩しても、税引き後の手取りは約320万円まで減ります。
- 対策: 2024年に拡充された「新NISA」をフル活用しましょう。非課税枠1,800万円分を最速で埋めれば、取り崩し時の税負担を大幅に軽減できます。しかし、1億円規模の資産を持つ場合、特定口座(課税)での運用が避けられないため、やはり**「税金分(約20%)」をあらかじめ上乗せした資産設計**が必要です。
2. 社会保険料という「隠れた支出」
リタイア後、会社員時代の「社会保険料折半」という恩恵は消滅します。
- 国民健康保険と年金: 前年の所得(運用益の確定申告状況による)に基づき、保険料が決まります。特に40歳以上は介護保険料も加わります。
- 落とし穴: 特定口座の源泉徴収ありを選択すれば所得にカウントされず保険料を抑えられますが、今度は「配当控除」などの節税策が使えなくなるジレンマがあります。年間数十万円の「見えない固定費」として予算に組み込むべきです。
具体的な必要額シミュレーション(税・保険料込み)
月間の手取り生活費を基準に、安全圏と言える必要額を算出しました。
| 目指す生活水準 | 月の手取り額 | 年間支出 | 必要資産(3%ルール) |
| ミニマムFIRE | 15万円 | 180万円 | 6,000万円 |
| スタンダードFIRE | 25万円 | 300万円 | 1億円 |
| ゆとりあるFIRE | 40万円 | 480万円 | 1億6,000万円 |
※運用益に対する20%課税と、国民健康保険・年金の支払いを考慮し、取り崩し率を保守的な「3%」として計算。
厳しめに見積もった方がよさそうですね。頂は高い方が挑戦し甲斐があるってことで。あせらずゆっくり資産を積み上げていきましょう。
