それは田舎町への出張先にてランチでのこと。誰にも邪魔されない至福のひととき、孤独のグルメな状況でした。
カウンター席は8割ほどの盛況で、私はカウンター席の中央に座って料理が運ばれるのを待っていました。
左隣には食事を終えた初老の夫婦。
気のいい店主とカウンター越しに会話をはずませています。
すると店主が私に向かってどこから来たの?と話を振ってきます。
私「東京からきました。」
店主「コロナの影響で電車が空いているんだって聞くけどどうなの?」
私「ラッシュ時は以前より明らかに空いてます。オフピークで時間をずらすと、電車の本数が少ないせいか、なぜか混んでいたり(笑)。」
他愛もない会話を交わしていると、突然左となりに座った初老の夫婦のご主人が私に向かって「あなた東京から?」と。
「はい、そうなんですよ」と答える私を無視して奥さんとヒソヒソ話。
そして唐突に「会計お願いします!」と言って立ち上がって店を出て行きました。
まぁ、気持ちは痛いほど分かります。田舎町で限られたコミュニティの中で生活するよりも、素性の知れないよそ者と接触した方が感染のリスクが上がるような気になりますし。
だからそそくさと立ち去った初老の夫婦に特別嫌だという感情はなかったんです。少しだけ会話してもいいだろって思ったりもしましたけど、初老の夫婦は飛沫感染リスクを回避する方を選択しただけで何も悪くない。
こうした状況ですから誰も悪くない。私には自覚症状がないだけかもしれないし、感染している可能性が全くのゼロとは言い切れない。それはみんな同じ。
ただ、これが状況とシチュエーションが違っていたなら、差別ってこともあり得るし、差別されるってこういう感じなのかもなぁ。
などと、差別の疑似体験?っていう不思議な感覚を味わうことができました。
そこのランチはとても美味しかったですし、店主は気さくでいい人でした。なんとも言えない貴重な体験をしました。
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